文教視察②小中一貫教育のとりくみ

広島県呉市
子どもの連続した学びと自尊感情の向上
 ~小中一貫教育のとりくみ~

(1)基本的な考え方
呉市では、平成19年度からすべての中学校校区で小中一貫教育がスタートし、小中の施設が一体となっているところ、離れているところ、それぞれで中学校区の特色を生かした小中一貫教育が進められています。
ねらいは、小学校と中学校の学びの段差(中一ギャップ)をなくし、子どもたちが安心して学べる環境づくりであり、「小中連携」にとどまらず、小中で「めざす子どもの姿」を共有しながら一体的なとりくみにつなげることです。そのために、
① 義務教育9年間を見通した教育内容(カリキュラム)づくり
② 子どもの心身の発達・生徒指導上の課題・学力向上のねらいに応じて「4・3・2区分」を行い、 指導内容や方法を工夫する。
「前期」(小1~4)「中期」(小5~中1)「後期」(中2・3)

(2)具体的なとりくみ内容
①中期に重点を置いた教職員の動き。
小から中へのスムーズな移行ができるよう、5.6年生で「一部教科担任制」を取り入れ、小中の 先生が「相互乗り入れ授業」を行う。小中間を移動する教員を支援するために、年間400時間の講師を呉市が配置(今年度11名)しています。
② 推進役であり、中学校区内や他の校区をつなぐコーディネーターを配置。(児童生徒数に応じて配  置さている教職員で対応=定数内)
③ 小中一貫教育の内容を高めるための研修を充実。
中学校区内での部会研修の他、小中合同の授業研究・研究指定した中学校区のとりくみを公開するなど。
④ 各中学校区の特色あるとりくみ
小中合同授業・異学年交流・小中合同あいさつ運動やクリーン活動・児童生徒海交流・いじめをなくそうキャンペーンなど

(3)小中一貫教育のとりくみで見えてきたこと
①授業を変える力に!
小中お互いの授業や指導の様子を日常的に知ることで、新たな気づきや学びがうまれ教員の授業改革につながっており、子どもの学力も向上した。
② 子どもの自尊感情を育む
中一の段差を低くすることで、子どもが安心して学ぶことができる、小中合同のとりくみなど異学年交流の幅が広がり子どもの成長が見られる等。
呉市では、今までの実績をふまえ、平成27年度から「主体的な学び」につながる授業づくりを進めているそうです。子どもが「やってみたい」「もっと調べたい」と意欲をもち、友だちといっしょに考え解決していくことができる授業の在り方をめざして小中いっしょに研究を始めています。

(4)八尾市のとりくみに
八尾市では、すでに、ほとんどの中学校区で「授業体験やクラブ体験」「教職員の合同研修会」「交流行事」など、小中連携のとりくみが行われています。その実践をふまえ、さらに小中一貫教育のとりくみへと発展させるため、市民の意見も聞きながら、現在、「八尾市小中一貫教育基本方針」を作成中です。
呉市の地道な実践の成果からわかるように、小中一貫教育の意義は十分理解できるものであり、本市のとりくみにも期待しています。しかし、現場の教職員自身が意欲をもって課題に向き合っていける環境づくりが必要だと感じています。とりくみに関する情報提供や研修の実施、教員やコーディネーターなどの人的支援など、市がしっかりバックアップしていく必要があります。めざす子どもの姿や方向性を共有しながら、急がず粘り強くていねいに進めていってほしいものです。

< 八尾市の小中一貫教育のイメージ>