八尾市の危機管理・防災講演会が開かれ、地域の防災関係者や行政からも多くの参加がありました。
「みんなにやさしい防災術、避難所に女性の視点を!」をテーマに、茨木市危機管理課長の多田明世さんの講演でした。役所のなかで女性の管理職はまだまだ少なく、ましてや「危機管理」担当といえば、男社会か?「防災=男性」といわれるなかで、多田さんは府内で危機管理課唯一の女性課長です。でも、まず一人からの出発。今日の講演を聞けば、ますます、女性リーダーが行政にも必要であることがわかってくるはずです。

多田さんが課長職についてから5年。取り組みの中心は、「いばらき女子防災部」の立ち上げと活動です。まず、2013年(H25)から2年間、女性の視点に配慮した防災講座を行って女性防災リーダーを育て、彼女たちを中心に女子防災部を立ち上げたのです。ハードルを低くして、いつも、女性が気軽に参加できる雰囲気づくりを心がけたそうです。
女子防災部の活動は防災研修や実践を通した女性同士の交流ですが、市内全体に女性防災リーダーを広げ、地域防災力を向上させることが目標です。
とりわけ、若者を含めた多世代の防災啓発講座はおもしろいと思います。子育て支援課といっしょに、若いママ・パパを対象にした「子どもの命を守れるママとパパになる」講座、あるいは青少年課と組んで、若者対象の「キャンプで学ぶ防災力」講座などユニークな内容のとりくみがありました。今までの枠にとらわれず、女性防災リーダーのメンバーと知恵を出し合い、楽しくとりくんでいる様子が目に浮かびます。

過去の震災での避難所運営では、さまざまな課題が指摘されています。
① 着替えができない、選択干し場がないなどプライバシーのない生活を強いられた。
② 育児・介護用品、女性用品などの生活物資が不足し、しかも、男性中心の運営のため女性の声が生かされなかった。
③ 感染症・便秘・不眠などの健康問題や、ストレスによるDVや性犯罪まで起きていた。
これらの課題に向き合いながら、もしもの時に、子ども・女性・高齢者・障がい者などすべての人にやさしい避難所づくりができるよう考えておくことが大切です。そのためには、茨木市のように、女性防災リーダーの活躍は欠かせません。
女性防災リーダーの事業は、まだ、自治体の1割程しかとりくめていないと聞きました。多田さんは、「日常の延長に災害がある、女性の視点から過ごしやすい避難所のあり方を考えていきましょう」と、笑顔で話していました。
10月の台風21号がもたらした記録的な大雨で、八尾市内438人が避難所に集まりました。今後も、大きな災害によって長期の避難所生活を強いられる可能性はゼロではありません。災害への備えを忘れないよう、多田さんのお話をまわりにも伝えていきます。