栃木市の「空き家」対策

市民クラブ会派視察①    2018年1月23日

移住とつなげる空き家対策

~栃木県栃木市~

■「住みたい」まちづくりと空き家対策
栃木市は「2018住みたい田舎ベストランキング」で、若者・シニア・子育て各世代総合で第3位。とくに、若者世代では2年連続全国第1位に輝きました。首都圏が通勤可能な距離にあり、自然豊かで落ち着いた町並み。それだけでも「住みたい」と思う人は多いでしょうが、市の移住・定住に関する充実した「おすすめ補助制度」が成果をあげているのではないでしょうか。
そのなかに、「空き家バンクリフォーム補助金」が含まれています。リフォーム工事費の2分の1(最大50万円)を補助するというもの。さらに驚いたのは、3年前から、空き家の解体費用も同じ額で補助しているとのことでした。これは、他の自治体には例がないほどの思い切った施策で、市長と担当課の大きな決断だったようです。その結果、毎年申請件数が伸び、今年度はすでに100件をこえているそうです。
その補助金を受けるには、空き家バンクに登録するのが前提です。空き家バンクとは「使わない空き家・空き地を買いたい・借りたい人に市が仲介する制度」です。栃木市は平成26年からスタートしており、この4年間で216物件のうち122件が成約。その件数は全国一位でした。その要因は何かと質問すると、宅建協会等と連携した、わかりやすく魅力あるPRだと答えがかえってきました。
八尾市でも、空き家の実態調査などで、「利活用の方法がわからない」「空き家を何とかしたいがお金がない」という声が多くあがっていました。八尾市の空き家件数は19120件、長い間使われていない空き家だけでも7千件近く(平成25)。共同住宅や長屋が多いのも特徴です。栃木市の空き家は2千件あまりで、そのほとんどが戸建て。両市に違いはありますが、八尾市も、空き家バンクを立ち上げ、何らかの補助制度も検討する必要があるでしょう。

栃木市「住まいに関する補助制度」詳細は
http://www.city.tochigi.lg.jp/hp/menu000011000/hpg000010465.htm

 

 

 

■移住体験施設「蔵の街やどかりの家」
栃木市の生活を肌で感じてもらうために、空き家を活用して移住体験施設をつくっています。江戸時代には日光に通じる宿場町として、白壁の土蔵群も残る落ち着いた通りに、やどかりの家があります。市が年間50万円で借り上げて、利用者には一泊2千円、最長一月3万円の格安で使ってもらいます。この2年間で、44組112名が利用し、内4組が移住してきたそうです。
空き家の利活用として、移住を進める手だてとして、とても良いアイデアだと思いました。今後、施設をさらに1カ所増やす予定だそうです。

やどかりの家 案内
http://www.tochigi-akiya.jp/trial/

■自治会との連携
栃木市では、調査の時点で、空き家がすでに老朽化しており使えないケースが多かったそうです。そこで、空き家になった時すぐにその情報を提供してもらえるよう、自治会(地域住民)の力をかりることにしました。空き家を早期に発見し活用する流れをつくるためです。
各自治会に呼びかけ、地域の空き家を住宅地図に色分けをして市に提出してもらい、世帯数に応じた調査費用(1自治会あたり上限3万円)を払うしくみです。29年度は44自治会が参加し、現在7自治会から資料提供がありました。市はすぐに所有者や相続人を調べ、有効に活用してもらうよう指導しています。すでに5件が活用の意向をしめしているようです。自治会と連携することで、住民が市の空き家対策について知るきっかけになり、空き家に対する意識が高まったと聞きました。
八尾市は地域分権を積極的に進めています。地域の課題は住民が一番よくわかっています。空き家対策についても、こうした地域の皆さんとの協働でとりくんでいくことの意義に気づかされました。ぜひ八尾市でもできないか、声をあげていきたいです。