映画『蘇れ生命の力』に寄せて

私は、30年間八尾の学校で教員をしながら、子どもたちの育ちを見つめてきました。学校現場のなかだけでは見えてこない課題を少しでも解決につなげたいと思い、市会議員をめざして今日に至っています。その間、さまざまな子育て支援団体や子どもたちを見守る地域の活動に出会い、そのたびに、「たくさんの方々が子どもたちの育ちを支えてくださっている」と実感し、感謝の気持ちでいっぱいになります。

一ヶ月ほど前、子育て・教育・医療・健康・お産という、命の根源に関わるテーマで構成された映画『蘇れ生命の力』を観る機会がありました。「人は自然の一部。すべての力は私たちのなかにある。」と、薬や注射よりも、自然治癒力の大切さを伝え続けてきた小児科医真弓貞夫さんのドキュメンタリー映画です。真弓医師の生き方だけでなく、彼の考えに共感し保育の場で実践した保育士と子どもたちの姿、その他、さまざま影響を受けた人たちの思いも、ていねいに描かれています。

この映画を観て思いました。現代の子どもたちが抱えている困難、たとえば、いじめ・不登校、心のもち方や人との関わりのなかで起きてくる様々な課題や、アレルギーなどの健康上の問題・・、それらに向き合うときに、「本当に大切な事は何だろう」と考えるきっかけになるのではないかと。
技術の進歩で世の中が便利になり物も豊かになっています。悪いことではありませんが、一方で、人が本来もっているはずの生命力、それが弱くなっているのではないか、子どもたちの育ちを、私たち大人がどのように支えていけばいいのか、気づかされる作品でもあります。
答えはありません。この映画を観た一人ひとりが何かを得て、まわりの人に伝えていくことができれば素晴らしいですね。八尾市で上映会がありますので、ぜひ、子育て中の親御さん、保育・教育関係者のみなさん他、多くの方々に観ていただきたいと願っています。