学校図書館を生徒の居場所に

◪大阪市立市岡中学校の訪問

学校図書館で生徒の居場所づくりにとりくんでいることを知り、吉村議員、西川議員といっしょに、大阪市立市岡中学校を訪問しました。はじめに、西川校長先生、NPO法人FAIRROADの栗本さん、機会をつくってくださった尾関さんからお話を伺いました。

◪はじまりは、学校図書館の活用事業

中学校の図書館は、小学校のような図書の時間がなく活用が進んでいなかったようです。努力目標を決めて図書館を開け、非常勤の司書や地域ボランティアにサポートしてもらうようになり、本好きの子たちが集まり利用するようになったと。

校長先生は、「学校のなかに学校のにおいのしない場所」をつくろうと、図書館に注目しました。本を手に取ることができる「図書館のなかの日常」を通して、いろいろなおとなとの関わりと多様な学びを子どもたちに提供したい。コロナ禍だからこそ、学校のあり方や学習のスタイルを見直す転換期にある、と熱く語っておられました。

 

 

◪高校生では遅い

2012年、だれでも気軽に立ち寄れるところ=居場所カフェが西成高校で始まりました。ゆっくりできる空間で、高校生からこぼれ落ちる悩みや不安などを聞き、不登校予備軍や中退した若者を学校と連携してサポートするとりくみで、大阪府の委託事業です。現在は4校で実施されていると聞きました。

背景には、大阪府の高校生のきびしい現実があります。2015年9月文科省調査では、1000人あたりの不登校生徒は31.3人とワースト(全国平均15.9人)、中途退学率は2.2%(全国平均1.5%)でした。

栗本さんは、高校の居場所カフェに関わってきた経験から、「高校生になってからでは遅い。中学校に居場所が必要だ。」と気がつきました。学校の理解や協力を得て、今に至ります。栗本さんたちは不登校の生徒にもアウトリーチ(働きかけ)して、図書館に来るよう誘い、寄り添っています。

 

◪学校のなかにこそ居場所を

尾関さんは、大阪市内で「こども食堂」を立ち上げ、運営していたことがあります。こどもの居場所は学校の外につくられてきましたが、学校の中につくれないか、むしろその方が良いのではないかと考えたそうです。しかも、学校図書館が居場所であれば、本との出会いが、子どもたちの学習意欲や、将来の夢や希望につながることもあるだろうと。

まさに目からウロコ。子どものケースによって違いはあるものの、居場所を校外に求めてきたことが、「不登校の子どもたちを学校に戻したいといいながら、実は学校と切り離すことにつながっているのではないか」と思わざるをえません。

◪ほっこりムードの「はとばカルッチャ」

校長室を出ると、ちょうど放課後になり、生徒が集まってくる時間でした。図書館には、畳スペースがあったり、机の上に様々なゲームが置いてあったり、人気アニメの絵が描いてあったりと中学校の図書館のイメージとは違うやさしい空間でした。栗本さんたちが対応するのは週に1日、昼休みと放課後です。この日、地域の民生児童委員である女性ボランティアの方が応援にきてくださっていました。不登校生徒たちには、FAIRROADスタッフのそばで自主学習をしていました。本好きの子や何となく図書室でくつろぎたい子が集まっているのでしょうか。思い思いに本を読んだり、おしゃべりしたりしています。こんな雰囲気のなかで、生徒たちの声に耳を傾けることができるんですね。

 

 

◪八尾市でも

八尾市では中学校には一日4時間、週2日、図書館サポーターが配置され、子どもたちの読書活動をサポートしてくださっています。もっと図書館を豊かに活用できるよう、私たちは市民グループや図書館サポーターの皆さんと、学校司書の配置を求めています。

たとえば、学校司書と市民団体や地域のみなさんがいっしょになって、学校図書館の活用と居場所づくりができるといいなあと、今回の訪問を終えて考えました。議会でぜひ提案したいと思います。