防災備蓄倉庫の見学

1月29日、総務委員会に所属する議員のみなさんと、市内の防災備蓄倉庫を見学しました。今年度は、「災害発生時の避難所の現状とあり方」について委員会調査を始めましたが、コロナ感染拡大により視察もできないまま一年が終わろうとしています。せめて現場施設の状況の確認をと、危機管理課職員のみなさんに協力していただきました。

防災備蓄倉庫は、指定避難所50か所とそれ以外の7か所を合わせた57か所にあります。指定避難所は大きな災害がおきた時に滞在して生活できる避難所で、地域の小中高校が指定されています。

ここでは避難者が最低3日間はすごせるための物資を備えなければなりません。八尾市防災計画のなかには、日用品・食料・簡易トイレ・パーテーションなど多くの費目と数量が一覧表にまとめられ示されています。コロナ禍以降、マスク・消毒液・非接触型体温計などの感染対策のものが追加されました。

3つの防災備蓄倉庫を見学

私たちが訪れたのは指定避難所以外の施設です。

(1)旧安中幼稚園備蓄倉庫

廃園後の施設を倉庫に使っています。他の場所に比べ市役所に近いため指令が出しやすいメリットがあり、主に感染防止グッズなど追加物資を置くそうです。今はスペースに余裕がありますが、2月以降もルームテント・マスクなどが入ってくる予定ですから、いずれ満杯になるのではないでしょうか。

周辺の道路が狭いので大きな車両が入れません。さらに、道路がふさがったりしたら大丈夫なのかなと心配です。

(2)総合体育館ウィング

全国からの物資を受け入れ保管できる緊急輸送拠点です。その一角に備蓄倉庫がありました。唯一空調設備がある倉庫で温度管理ができるので、衛生用品や液体ミルクなどを置いています。

災害時には、このメインアリーナに運び込まれた物資が、職員やボランティアの手で振り分けられ各避難所に配られるわけです。輸送道路が命綱になります。道路の備えや整備は、災害に強いまちの大切なセーフティネットなのだと実感しました。

(3)近畿自動車道高架下倉庫

都市整備に使う機材倉庫のとなりにありました。ここには、大型機材や、リヤカー・発電機・車いすなど指定避難所備蓄品を補うようなものが置いてありました。高速道路の高架下のスペースなので輸送には便利かもしれませんが、所狭しと物資が並べられており倉庫内に余裕はありません。

見学を終えて

防災備蓄倉庫7か所が市内に分散され、それぞれの特徴を生かしつつ倉庫としての役割を果たしていることがわかりました。しかし、収納スペースには限界があり、詰込みすぎるといざという時に取り出しにくい。どこに何があるのか職員がスムーズに作業できるのか心配です。備蓄倉庫としてもっと機能的な場所が確保できないものかと考えてしまいます。

また、防災倉庫の必要性は誰もが理解できるので、幼稚園跡地を備蓄倉庫にするのもやむを得ないのですが、地域で愛されてきた幼稚園がずっと倉庫であるのも寂しいですね。将来、備蓄倉庫のあり方を検討するなかで、幼稚園跡の施設が地域住民やこどもが自由に使える場所になってほしいなあ。

備蓄品の管理や補充については定期的に行い、食料品など期限が過ぎる前の物資については地域の防災訓練などでも使ってもらっていると聞きました。飲料水として使えない水も生活用水のために引き続き保管していました。有効利用は必要です。

ちなみに、指定避難所のある学校内の備蓄倉庫については、それぞれの避難所開設員(各6名)が毎年4月に備蓄品の点検をしているそうです。

現場を見てこそ、現状を知り職員の思いが伝わり、あらたな課題も見えてきます。市が用意している防災備蓄品は十分かと言われると、そうは言いきれません。お金もスペースも限られているなかでベストではないでしょう。しかし、各地から応援物資が届くまで少しでも安心して避難生活が送れるよう、市内の備蓄品が速く効果的に届けられるしくみや環境づくりは必要です。

さらに、自分が用意できる備蓄品はそれぞれが用意することも大切だと思います。震災・豪雨・台風・感染病など自然災害を防ぐことはできませんが、その時に、いかにして命を守るのか、被害を少なくするのかを考え、日頃からの備えをしておくこと、それは、行政だけではなく私たち一人ひとりにも求められています。